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物理がわかる短編
「なろう」サイトで見つけた短編小説「サルにキーボードを叩かせてみました」谷津矢車氏著 が面白かったので、日記に残しておきます。

あらすじ:「私」のかつての恩師であり、物理学の世界の大家である「W氏」は、比喩を解さないという奇妙なパーソナリティを有していた。その「W氏」の引き起こした珍事と、その珍事が招いたちょっとした変化についての回想記。

以下ネタバレ  短編なんで、もろネタバレになるので、先に↑のリンクで呼んでください。十分あれば読めちゃうから。











このくらいでいいかな


長女のとっている科学雑誌「Horrible Science」では毎回、その回で特集している科学分野の科学者を古代から現代にいたるまで二、三人ずつ紹介している。
そこでは科学者のことをサイエンティスト、とは呼ばずに俗語で"Boffin"(英・オーストラリア・ニュージーランド・南アフリカ)と呼ぶ(米語では"EggHead")

この作品を読んでいる内に、物理学者のW氏が"Boffin"に見えてくる。
自分の得意分野、研究分野にのめりこむあまり、通常の生活とかコミュニケーションに、若干の支障がある。
こうした人たちの伝記を読むと、アスペルガーや高機能自閉症じゃないかと思えるほど、話の裏が読めなかったり、場の雰囲気が読めなかったり、ひとつのことへのこだわりが強かったり、比喩や冗談がわからない人が多い。
というか、そういう気質だから、根気良く難しい研究や計算や分析を続けることができるんだろうな。

そんなW氏を温かく見守って、突拍子もない実験を真面目に手伝ってあげる学生や学院生や、突拍子もない分析結果をまともに受け取り、評価する学会とかの様子がほのぼのと楽しかった。

だけどそれだけじゃないんだなぁ。私が感動したのは

以下”内”本文より引用:

“ミクロの世界では運動を確率的にしか捉えることができないのに、マクロになると確実に動きを予言出来る”というパラドックス

というよくわからない物理の論理を、一介の主婦にもわかりやすく、

“サルがめちゃくちゃにキーボードを叩いてシェークスピア作品を作る”
という冗談を真剣に実験し、分析、計算し、何億という文字の羅列から「シェークスピア作品の一部」を見つけ出し、その確率について”約50億分の1の確率でしか出ない単語”が偶然出てきたことに驚き、それを「科学で説明できること」以上の物が存在することを知った教授が、言葉でも科学でも証明できない「愛」と「神秘」いうものを謙虚に受け入れたっていうのが、なんか妙に清清しかった。

で、読んだ後、洗濯物を干しながら思いました。

“ミクロの世界では運動を確率的にしか捉えることができないのに、マクロになると確実に動きを予言出来る”というパラドックス

あぁ、地球上の命はそうして生まれたんだ、ということ。
太古のカンブリア紀のずっとその前、海がまだ濃厚なスープだった時代。
ミネラルとか、いろんな物質はまさに予測不可能な状態で混ざり合い、そこに生命活動は存在しなかった。

原子を分解したその先にある量子の世界…何が起きるかわからない→あらゆるものが混ざった太古の海

ある時、ミネラルや栄養の組み合わせで、核と膜を持ち、熱量を代謝して、個体を増やし続ける「生命体」が生まれる→予言可能な原子・分子を越えたマクロの世界

物理って、そういうことなのかな、と思いました。

推測でしか語れない世界から、今私たちが見て、触れて、存在が確認できるものが生まれてくる。

そんなわけで、「このバカバカしい実験」は意外と科学というものの本質に迫っていたのではないかと、読後思いました。

さて、この作品ではチンパンジーで実験したことになっていますが、今現在では、キーボードを使って、言語を通してコミュニケーションできるチンパンジーがアメリカにはいるというのをテレビで見たことあります。。
林檎やバナナを、キーボードで単語を綴って要求できるだけでなく、感情表現も理解できる。
赤ん坊が死んでしまって体調を崩していた仲間のチンパンジーについて「彼女は悲しい」などとタイプしたそうな。
うむ、喋らないだけで、言葉は理解し、文章化できる能力はあるんだ。侮れないぞ、チンパンジー。

谷津氏はたくさん短編を書いておられるので、そのうち少しずつ読んでいこうと思いました。
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