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読書感想「ローマの戦士:諸王の王」ハリー・サイドボトム著
これ読み終わるのに3ヶ月かかりました。
まあ、私生活が忙しくて、寝る前の15分とか、夕食調理中の煮込みの合間とかに細切れに読んだせいもあるのですが。
何より、読みにくいんですよ。
この本は、アングレス人(北ヨーロッパの白人部族)の王の息子、少年時代よりローマに送られ人質として成長した金髪碧眼の大男バリスタが、ローマの東方軍司令としてパルティア(ペルシャ)との戦いに人生をすり減らす歴史フィクション「ローマの戦士シリーズ」の二巻目にあたる物語なのですが。
てか、ローマの戦士といいつつ、ここに出てくるのはローマ人よりも、周辺諸国から連れてこられた人質や奴隷とか、グラディエイターとか、傭兵とかが多かったりする。

1巻も読みにくかったので、2巻どうしようかと思ったんですが、バリスタの先行きとか、ローマ系の歴史小説にありがちな、そこなかとなくBLな人間関係が楽しくてついつい手を出してしまいました。

どこが読みにくいかというと、ラテン語の名詞をそのまま頻繁に使用するので、役職や地名、人名が覚えられない。
北欧/ギリシア/ローマの伝説や神話、史実を懇切丁寧に引用したりして、なかなか話が進まない。
流れがぶちぶち切れちゃうんですよ。

今回の巻で始めて気がついたけど、このサイドボトム氏は大学の歴史学教授だった。
どうりで長々とどうでもいいような蘊蓄が続く。
でもベストセラーらしい。

完全三人称で、くまなくキャラの心理描写もしてあるので、そこはかとなくBLなギリシア人奴隷秘書のデメトリウス少年(っても19歳だけど)とかの微妙な忠誠心とか腐母にはこたえられない。
ちなみにバリスタは恐妻家の愛妻家、デロデロの子煩悩かつバリバリのヘテロなので、前線では男女ともに現地調達に興味のない彼と、下ねたで盛り上がる周囲とのずれがおかしい。
いや、読みどころはぜんぜんそんなところではない。

以下、ネタバレ
1巻目(Fire in East)では、パルティアとの国境に近い、アリータ城市の防衛司令官として捨て駒にされたバリスタは、ぎりぎりまで持ちこたえたものの、場内のキリスト教徒の裏切りでパルティアの王、シェイファーに攻め込まれ、命からがら陥落するアリータ城から脱出する。

2巻目(King of Kings)では、アリータ敗戦のためにローマ皇帝の不興を買ったバリスタは、ローマ帝国中枢の政争に巻き込まれてゆき、キリスト教徒弾圧の執政官を任命されて失敗したり、再びパルティア征服の遠征についたり、罠とわかっていて軍人として国と皇帝に背けないままパルティア王の虜囚の憂き目を見る。

3巻目(太陽の獅子)はもう出ているようだけど、図書館はまだ新着コーナーで有料貸し出しだ。(がくっ)

やっぱ、こういう戦記ものの楽しさに、常に生死を間に挟んだ男同士の友情というか、主従関係の異様な濃さとか、そのあたりが現代のどこを探しても見つからない人の絆みたなものがある。
しかも、この時代における人間の残虐性とか、世界観とか、その時代のリアリティの追求の深さは、歴史もののずっこい太さが底にあって、一度沈んでしまうと西暦200年あたりの世界から出て来れなくなってしまう。

さて、このコムツカシイ、サイドボトム教授のあとは「Raven」という小説を読んでいる。
著者のギリス・クリスティアンは新人らしいのだけど(たぶん)どっかの先生の文章よりも、なかなか読みやすい~。
前の本と同じくらい、読み時間は限定されているのに、もう半分までいった。
バイキング時代の黄昏期。
頭の怪我で子供時代の記憶を無くしたオスリック少年は、イギリス育ちでキリスト教徒と自分では思っていた。
身寄りがないことと、片目が赤いために、不吉な存在として村からはのけものにされたが、やはり身寄りの無い唖の大工の弟子として暮らしていた。村を滅ぼしたヴァイキングの一団に加わり、戦士として成長して行く。

いやもう残酷描写は18禁な場面がざっくざく。
ヴァイキングの世界観、宗教観が、ヨーロッパを浸食していくキリスト教徒のそれと衝突していくさまが、おそらくヴァイキングとイギリス人の両方の血を持つオスリック少年の心身のなかでの葛藤と重なって行く。
キリスト教徒としての罪の意識よりも、北欧の無慈悲な神、オーディンに惹かれて行く様子が、原初の野生に憧れる筆者と現代人の闇を克明に描いています。
これはもう三巻まで出ているので、図書館にあれば一気読みできそうな。

「ローマの戦士」もそうなんですが、この「Raven」でも、キリスト教はそれまでの世界と社会を脅かすカルト、新興宗教として描かれています。聖職者の偏狭さや強欲さも、余すところなく描いたりして。
作者たちはキリスト教徒だと思うのですが。
宗教を歴史の流れの一部として見つめると、やはり宗教というのは、つねにひとの心の闇を苗床に根を広げていくものだという達観にいたるようです。

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